福昌寺・飯沼康祐の旬をいただく精進ごはん
如月
節分の一汁三菜
粥、節分豆の粥
汁、桃太郎トマトときびの味噌汁
菜、キャベツで恵方巻き
菜、皮つき大根の風呂吹きステーキ
菜、出汁がら椎茸と昆布の梅和え
自分の中の「鬼」を一掃して清々しい気持ちで迎える春
季節を分けるという意味がある「節分」は、立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれの前日のことを意味しますが、新しい一年の始まりでもある立春の節分を、私たち日本人は行事化して大事にしてきました。
「鬼は外、福は内」と掛け声をかけては、魔を滅(め)す豆をまいて、除災招福を祈願します。誰しも自分の中には貪・瞋・癡(とん・じん・ち)と呼ばれるむさぼり、怒り、愚かな心の鬼がひそんでいると思います。そんな自分の中の鬼を退治するつもりで、豆まきをし、恵方巻きを食して新しい春を迎えましょう。
今回は、煎った大豆と炊いた粥、鬼退治のお話の桃太郎にちなんで、桃太郎という名のトマトと、きびだんごに使われるもちきびを加えた赤出汁、あり合わせの野菜などをきんぴら風に炒めて茹でキャベツで巻いた恵方巻きの節分メニューをご紹介します。加えて、水分と甘みをたっぷり含んだ旬の大根を皮付きのまま茹でて焼いた風呂吹きステーキ、出汁をとったあとの昆布と椎茸を使った和え物を添えました。
食材を無駄にすることなく、心を込めて料理する。そして、季節と食材に感謝し、美味しくいただく。ちょっとした心がけで、日々の食事も精進料理となり、私たちの心身の支えとなってくれるのです。
おすすめ出汁<昆布と生椎茸の出汁>
私が常用しているのが「昆布と生椎茸の出汁」です。大きい鍋でたっぷりと出汁をとり、ものによっては野菜の下茹でなども一緒にしています。干し椎茸よりもあっさりと軽い出汁なので、料理を選ばず広く使えて重宝しますよ。
材料(作りやすい分量)
- 昆布15×7cm 程度のものを2 〜3 切れ
- 生椎茸 8コ程度
- 水 1ℓ
- 固く絞ったふきんで昆布の表面を軽くふく。鍋に水と昆布を入れて30 分ほど浸しておく。
- 椎茸の軸を除き、①に加えて火にかける。アクが浮いてきたら丁寧に取る。
- 煮立つ直前に昆布を取り出し、鍋を火から下ろす。
※椎茸の軸は「皮つき大根の風呂吹きステーキ」の田楽味噌に、昆布と椎茸は「出汁がら椎茸と昆布の梅和え」に使用
節分豆の粥
水を少なめに炊いて大豆の食感を楽しむ食べ応えのあるお粥
材料(2人分)
- 米 1/2合(75g)
- 水 3カップ
- 大豆 40g
- 大根の葉と塩 適量
- 米は洗って30分ほど水に浸し、ザルに上げる。
- 鍋に大豆を入れて中火にかけ、大豆に焼き色がつくまでしっかりと煎る。
- 2に水を加える。沸騰したら米を加え、ふたをせずに弱火で15分ほど炊いたら火を止め、ふたをして5分むらす。
→ - 大根の葉を刻んで塩で揉み、器によそった粥に添える。
桃太郎トマトときびの味噌汁
トマトのうまみと赤味噌のコクでまるでデミグラスソース!
材料(2人分)
- トマト 1コ
- もちきび 20g
- 昆布と生椎茸の出汁 2カップ
- 赤味噌 小さじ1(目安)
- ごま油 小さじ1
- 鍋にごま油、細かく刻んだトマト、もちきびを入れて中火にかけ、トマトの果肉が崩れるまで炒める。
- 1に出汁を加える。煮立ってきたら赤味噌を溶き入れて椀によそう。