福昌寺・飯沼康祐の 旬をいただく精進ごはん
水無月
イタリアン精進料理 初夏のパスタ膳
麺、トマトとアボカドのカッペリーニ
汁、油揚げとオリーブのスープ
菜、豆腐とトマトのカプレーゼ 大葉ソース添え
菜、出汁がら椎茸と夏野菜のカポナータ
甘、豆乳コッタ 苺ジャム添え
ありあわせのものでも美味しく食べてもらえるように…
創意工夫をこらし、真心を込めて調理することが精進の心
精進料理というと和食のイメージが強いですが、私は必ずしも和食であるべきだとは思っていません。かの有名な一休和尚の言葉で「味噌汁は温かくして飲まなくてもよいではないか」と残っています。味噌汁といえば温かいことが当たり前のようですが、そうでなくてはならないことではない、と言っています。決めつけはおもしろくないということです。毎日同じことをするにしても、少し見方を変えるだけで新たな一面が見えてくるかもしれません。
また、精進料理は肉、魚、卵、乳製品(生クリーム、牛乳、チーズ)をはじめ、五葷とよばれるニンニク、ニラ、タマネギ、ネギなどの香りの強い野菜はタブーとされています。香りが強い野菜は精がつき、煩悩を生みやすくしてしまうからだそうです。今回のレシピには、イタリア料理の要ともいえるチーズや牛乳、タマネギなどは一切使用していません。「枕草子」には「そうじもの(僧侶がたべる精進料理)いとあしき(大変粗末)」という記述があります。今回は清少納言さんも驚くような、お洒落な精進料理メニューをととのえてみました。
白味噌とエクストラバージンオイルをベースに、フレッシュトマトとアボカドをからめた冷製パスタ。油揚げのコクとオリーブ漬けの塩味を活かしたスープ。木綿豆腐をモッツァレラチーズに見立てたカプレーゼ、出汁がらの昆布と椎茸は夏野菜と一緒にカポナータに。生クリーム(=パンナ)を固める(=コッタ)という意味のあるパンナコッタは豆乳と葛粉を代用しました。
ご家庭でも、ありあわせの材料で出来るだけおいしく喜んで食べてもらおうと創意工夫するはずです。その心が精進の心なのかもしれません。
この〈白味噌×野菜×オリーブオイルのソース〉がおすすめ!
オリーブを搾った豊かな香りが特徴のエクストラバージンオリーブオイルはイタリア料理には欠かせません。日本の食材とも相性抜群で、精進料理を作る際にも、頻繁に活用しています。今回は白味噌とエクストラバージンオリーブオイルをベースに、2つのソースを作りました。ひとつは冷製パスタのソース。フレッシュトマトを刻み、まな板の上で白味噌を混ぜてからアボカドとオイルと白ごまを混ぜたもの。もうひとつは、バジルソースに見立てた大葉ソース。こちらも大葉を刻み、まな板の上で白味噌と白ごまを混ぜてからオイルで加えたもの。味噌は粘りが強く、かき混ぜるだけでは溶けにくいので、まな板の上で切るようにして混ぜるのがポイントです。