自分の葬儀をプロデュース 金子哲雄さんの「終活」

人生の最後まで仕事を全うし、自身の生きざまを発信した
亡くなる1カ月半前、金子さんは葬儀社のセレモニーみやざきに「葬儀について相談したい」と自ら電話。自宅を訪れたセレモニーみやざきの宮崎美津子さんは、本人の葬儀の相談だったと知り、驚いたという。
その後は、ベッドに横たわって酸素吸入をし、時折り咳き込む金子さんと、葬儀のプランを立てていった。まずは葬儀の会場を探すことになったが、金子さんは自身が入るお墓も探していたため、宮崎さんは自分の菩提寺でもある東京タワー近くの心光院を紹介。すると「僕、東京タワー大好きなんですよ」と、満面の笑みを浮かべたという。偶然にも金子さんの思い入れのある場所でもあり、後日、奥さまにお寺と墓地の供養塔を見てもらい、会葬者にとっても便利な立地条件であることなどから、葬儀も心光院で行うことが決まった。その後、心光院のご住職は金子さんを訪問し、死生観などについて時間をかけて話し合ったという。葬儀の会場とお墓が決まった後も、葬儀の進行、会葬への挨拶状やおもてなしまで、すべて自分で決めたという金子さん。その様子は実に淡々としていて、強い意志にあふれていたという。
「金子さまは、見事に自分の逝き先を自分で決められました」と、宮崎さん。亡くなった後、テレビなどでも紹介された心温まる会葬礼状は、ユーモアを交えつつ周囲への感謝や気遣いなどを表現した、金子さんらしさにあふれたものだった。自分らしい終活をやり遂げた金子さんに、感服せずにはいられない。

 

 

葬儀が行われた東京タワー近くの心光院.葬儀は心光院本堂に花祭壇が飾られ、しめやかに行われた

 金子さん自ら書いた最後のご挨拶状。

 

 

宮崎美津子(セレモニーみやざき)


10月1日(月)の午後9時頃、携帯電話に着信が入っていたので、金子様に折り返しの電話を入れました。
すると『宮崎さん、もうお別れです。これでさよならです。』とおっしゃられました。私はいても立ってもおられず急遽ご自宅へ伺いました。 『宮崎さんお忙しい中ありがとうございます。もうお別れです。
一ヶ月半、命をいただきました。ありがとうございました。』無言の私に『私の人生に悔いはありません。さよならです。 あとはよろしくお願いいたします。』金子様の温かい手で、私の手を包んでくださいました。<奇跡はないのか、神様どうかこの方を助けてください。>私は思わず心の中で叫びました。そして、その時が近いことを悟りました。臨終を迎える時まで、ご自身の成すべきことをきちっとこなし、 旅立ちの支度を奥様とご一緒にされる気持ちを考えると、涙が止まらなくなり言葉が出ませんでした。そして、日付が変わった翌10月2日(火)金子哲雄様は旅立たれました。私が寝台車でお迎えに伺った時、すでに金子様は、トレードマークともいうべきスーツに着せ替えられておられました。
オレンジ色のネクタイ ・ 眼鏡、まるでこれからさっそうと仕事に出かけるかの様な出で立ちでした。お通夜 ・ ご葬儀は、ご本人の想像を超える程の会葬者で溢れ、告別式には参列された約300名近くの皆様にお花入れのお別れをしていただきました。私はこの一ヶ月半、一人の青年の終末期を見届けさせていただきました。そのご縁を通じて、葬儀社としての在り方、人を送るという意味を新たに考えさせられました。死への恐怖を少しでも克服できるのか?死を受け入れる為に何をすればよいのか?
自分の逝き先を自分で決められるのか?それぞれの立場や状況などにより様々な思いがあると思いますが、 旅立つ方に寄り添う方の支えはとても大切だと感じました。 金子様は奥様に支えられ、人としての尊厳を守られ、そして愛情を注がれて人生の幕を引かれました。金子様は見事に自分の逝き先を決められたのです。 流通ジャーナリスト金子哲雄様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
合掌

セレモニーみやざき
住所:東京都江東区門前仲町1-2-8 電話:03-3643-5696
URL:http://sougi.bestnet.ne.jp/miyazaki-tokyo/

 

書籍紹介

「僕の死に方 エンディングダイヤリー500日」

金子哲雄 著
小学館(1365円)

突然の余命宣告。絶望の中でやがて彼は「命の始末」と向き合い始める。
その臨終までの道程はとことん前向きで限りなく切なく愛しい。
これは41歳で急逝した売れっ子流通ジャーナリストが亡くなる1ヶ月前から書き始めたという見事な死の記録である。
終活を参考にしたい方は、是非一読を!

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