ハッピーエンディング対談


■木野島東海林さんは事件リポーターとして昔からいろいろなお葬式を取材していらっしゃいますが、ご自分のお葬式については何かお考えですか?
■東海林10年ほど前に考えたときは、「誘拐事件をレポートしながら死ぬ」っていうのが自分らしくていいと思ったの。そのとき私は89歳の最高齢リポーターですよ。犯人から私に電話がかかってくる。「歳も歳だから、お前にスクープを取らせてやる」って言われて、もう大喜びで行くわけ。その日は真夏で、指定された公園の前で汗だくになりながら「犯人は本当に現れるのでしょうか!?」って必死にレポートするんだけど、なかなか現れない。そうしたら急にめまいがしてバタッと倒れて、心不全でその場で息を引き取っちゃう。
■木野島もちろん想像ですよね(笑)。リアルすぎてビックリですけど。
■東海林そう。でも、ここで終わっちゃうと面白くないから、幽体離脱して自分の死も逐一レポートするの。「たった今、89歳の最高齢レポーター、東海林のり子さんが、誘拐事件解決寸前で、無念の死を遂げました!!」。それからお葬式は武道館。いろんなバンドとお付き合いがありましたから、彼らに来てもらって。ほとんどのバンドが来ると思いますよ(笑)。武道館なら8000人はお別れに来てくれるから、お香典も集まるぞ、と(笑)。で、いよいよ葬儀になるんですが、CMソングで有名な三木鶏郎さんは、ご自分のお葬式の会葬御礼を自分の声で吹き込んだものを流したんです。これなら司会を頼まなくてもいい。自分で自分のお葬式を全部仕切っちゃおう、と。お金もかからなくていいでしょ。

■木野島でも、89歳は若すぎますよね。

■東海林その後、きんさん・ぎんさんの取材をしたんですが、おふたりは100歳のときより105歳のほうが若くなっていたの。みんなに注目されることで、若返ったんですね。私も89歳じゃ死ねない、とそのとき思いました。だから、今の目標は125歳。

■木野島東海林さんとお葬式セミナーで講演をさせていただくと、80歳、90歳の方がけっこう参加されますよね。みなさん、とってもお元気。

■東海林そうですよ。何も早く自分の人生を閉めることはないんです。私は今、1歳半の孫がいるの。その子が大きくなって、一緒にライブに行くまでは生きなきゃ。ということは、あと20 年として98歳までは、あっさりと生きなきゃいけないと思っています。

■木野島葬祭会館で東海林さんが講演をされると、葬儀のセミナーなのに、みなさん「元気になった」って、楽しそうに帰って行かれます(笑)。

■東海林先へ先へ目標を持っていけば、けっこう長生きできると思うんです。たとえば私の場合、孫がもうひとり生まれるかもしれないじゃない。そうすると、もうちょっと長く生きなければならない。そして最後は、枯れるように死んでいきたい。延命治療はやめてもらいたいですね。


■木野島いま注目の「エンディングノート」には、延命治療をどうするか、という項目もあるのです。

■東海林私は脳死状態になったら、治療はやめてもらう。桑名正博さんが亡くなったとき、息子の美勇士さんが実はお金のことが心配だったとおっしゃった。もうちょっと長く生きていたら、払えなかったって。

■木野島それは本音だと思います。高度医療になって治療費にすごくお金がかかってしまい、「お葬式の費用をどうしよう」って困ってらっしゃる方は、本当に多いのです。

■東海林先に逝く人がきちんと考えておかなくては。愛情とかそういうことは別に、現実的な問題だから。美勇士さんの言葉は、これから逝く人は強く受け止めなくてはいけないと思います。

■木野島私が東海林さんから聞いたお話で一番感動したのは、先ほどもお話に出た三木鶏郎さんのお葬式。

■東海林15年以上前ですが、とにかく画期的でした。永六輔さんが司会をされたのですが、お坊さんがお経をあげて、黒人霊歌を歌うっていうのは考えられなかったし、CMソングを流しながら献花するのも始めて。目からウロコでした。遺影写真もなくて、似顔絵。とても素敵な似顔絵で、温かい感じがしました。会場では「いい湯だな、あははん~」なんて曲が流れていて、出てくる方にインタビューすると、みんなニコニコしているの。ご本人が湿っぽくしたくなかったんでしょうね。

■木野島生前から永六輔さんとご相談されていたんでしょうか。

■東海林そうだと思います。長く患ったわけではないけれど、ある程度の年齢に来 たときに、そういうことを永さんと話して決めていたことがすごいと思う。生前相談みたいなものですよね。

■木野島そのほかに印象に残ったご葬儀はありますか?

■東海林名脇役だった殿山泰司さんのお葬式です。主役級の俳優さんよりも、はるかに弔問客が多かったんです。俳優さんだけでなく、作業着姿の裏方さんたちがたくさん駆けつけたの。ああ、こういうところに人柄が出るんだな、と思いました。裏方の人たちにも優しく接していらした方なんだな、と分かる。

■木野島「生きざまは死にざま」とよくいいますが、お葬式には人柄が出るんですね。世の中は家族葬ブームですが、お世話になった方も葬儀はお控えいただく、みたいな風潮はちょっと寂しいですよね。

■東海林奥さまがご主人のお世話になった人、仲よくしていた人を知らないケースも多いと思います。お互いに連絡を取るべき人を聞いておいて、お世話になった方にはちゃんとお礼を言える状況をつくっておかないと。

■木野島「家族葬を希望されるときほど生前の準備が大切です」と、セミナーでもよくお話しするんです。

■東海林うちはパパの名簿もちゃんと預かっているし、誰が親友かも分かるようにチェックしていますから。

■木野島そういえば、この間、講演会でご自分の遺影写真を祭壇に飾ってらっしゃいましたよね。

■東海林いい写真だったでしょ。自分でいうのもなんだけど、伸ばしてみたら綺麗なの(笑)。何回も遺影になったりするほうが、長生きできるんですよ。

■木野島お花にもこだわってらっしゃるでしょ。祭壇のお花はバラですか?

■東海林本当はコスモスが好きなんですけど、そういう時期にうまく死なないとね。三木のり平さんの奥さまがミモザが好きで、その時期は日本になかったから外国から取り寄せたと聞いたとき、素敵だなと思いました。

■木野島棺も決めていらっしゃる?

■東海林私らしいのは、やっぱり白木。花々に囲まれて、微笑んでいたいですね。もちろん、手には長年愛用のマイク(笑)。それから取材ノートも入れたい。66冊くらいあるんです。天国で、ずっと読んでいられるように。

■木野島もし、あちらの世界に行ったら、どなたにお会いになりたいですか?

■東海林ベスト3を挙げるなら、父と母、あとはhideちゃん(X JAPAN)かしら。取材に行くといろいろと教えてくれて、本当に優しい人だったんです。

■木野島天国に行っても、忙しいですよね。いろんな人に取材して、その後、どうしていたか聞かなきゃいけない。マイクを持っていかれるから(笑)。

■東海林そうね。裕次郎さんにも会いたいし。そう思うと、とても楽しみ!

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