阿川佐和子氏 父・弘之さん悼む「立派な大往生だった」

作家・エッセイストの阿川佐和子氏が7日、老衰のため3日に亡くなった父で作家の阿川弘之さん(享年94)についてのコメントを発表した。新潮社を通じ、マスコミ各社にファクスを送り、「立派な大往生だったと思っております」などと胸中を明かした。

阿川氏が父の死についてコメントするのは初めて。

海軍体験を通して戦争を描いた「山本五十六」「暗い波濤」などの作品で知られた弘之さんは90歳で作家を引退。阿川氏によると、「自宅で転んで頭を打っ たり、誤嚥性肺炎を起こしたり」したため、2012年はじめに都内の「老人病院」に入院。その後、大腿骨を骨折してほとんど寝たきりの生活となったが、毎 日リハビリに励み、「病室ではビール、日本酒を少々(大変に融通の効く病院であります)、娘が持ち込んだ好物の鰻、すき焼き、フカヒレなどを食し」ていた というエピソードを明かした。

阿川氏は亡くなる前日にも病室を訪れ、弘之さんは阿川氏が持参したローストビーフ3枚をたいらげ「次はステーキが食いたい」とにんまりと笑ったという。

最期を看取ったのは長男・尚之氏と自宅で両親の世話をしていたご夫婦。母親(87)は膝の手術をして入院しており、最期に立ち会うことはできなかった。阿川氏も仕事を終えて駆けつけたが、すでに呼吸の停止をした後で、「大声をかけましたが反応はありませんでした」。

厳しくしつけられたことなど、これまでたびたび父親の思い出を語っていた阿川氏。マスコミにあてた文書では「子供としてもっとこうしてあげればよかっ た、など、後悔は多々ありますが、しかし、身体が弱り切っても、頭の中は『うまいものが食いたい』という意欲を捨てなかったのは、いかにも父らしく、立派 な大往生だったと思っております」と亡き父へのあふれる思いをつづった。

葬儀は近親者のみで執り行ったことも説明。後日、「しのぶ会」を開く予定という。

出典:デイリースポーツ

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