亡き父の思いかなえた 鳥羽・梅谷主将「感謝」込め宣誓

お前がキャプテンになったら、絶対に甲子園に行ける」。6日開幕した第97回全国高校野球選手権大会の開会式で、選手宣誓を務めた鳥羽(京都)の梅谷成悟主将(17)は5月に病死した父、重夫さん(享年51)の言葉を胸に晴れの舞台に立った。

「僕の選手宣誓は天国の父にもきっと届く。今の自分があるのは家族、仲間のおかげ。それを精いっぱい伝えたかった」。夢にまで見た甲子園で、今まで支えてくれた人たちへの「感謝」の気持ちを宣誓の言葉に込めた。

小学1年で始めた野球。試合の日には、いつも重夫さんの姿があった。昨年8月、主将に立候補するか悩んだとき、「お前がなれば甲子園に行ける」と背中を 押してくれたのも重夫さんだった。しかし、「食道がん」と診断されていた重夫さんの体は抗がん剤治療などの影響でやせ細り、やがて車いす生活に。それでも 応援を続けたが、今年5月の京都府大会で完敗した日の夜、「甲子園に行けよ」と言った後、体調が急変。約1週間後に息を引き取った。梅谷主将はひつぎの中 に、重夫さんが応援の際に着ていたユニホームを入れ、甲子園出場と活躍を誓った。

開会式には、母、真由美さん(50)や弟の将輝(まさき)君(10)が駆けつけた。「甲子園出場、選手宣誓は夫の夢でもあった。チャンスをもらえて夫も喜んでいると思う」と真由美さん。その胸で、遺影の重夫さんが、息子の“晴れ姿”を優しく見守っていた。

出典:日経新聞

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です